公正中立な第三者の立場から不動産の適正な価格を判定します。
皆様が不動産を売買したり、交換したりなさる時に、自分が納得した価格であれば、いくらで取引しても構いません。客観的な価格や時価などを知らなくても普段の生活の中では困らないものです。しかしながら、その不動産の客観的な価格を知りたい場合や、第三者に対して説得力のある根拠を持って説明しなければならない場合が世の中にはたくさんあります。一例を挙げるならば、親族間で不動産を交換したときや同族会社間で不動産を売買したときに、その価格が客観的な市場価値の観点から妥当であることを税務署に説明する時などです。
不動産鑑定士は、その不動産の物理的な範囲と権利関係を明確にした上で、公正中立な第三者の立場から適正な価格を判定します。また、必要に応じて第三者に対してその妥当性を説明します。
不動産の鑑定評価とは、鑑定評価基準で言うところの「正常価格」を求めるものです。最近の市場を前提に言い換えれば、対象不動産が売りに出た場合にその不動産の取引市場を前提に市場参加者のうち最も多くの参加者が付けるであろう価格と言えるでしょう。取引に当たっての特別な事情は排除し、市場に成り代わって公平妥当な価格を導きます。
評価に当たっては、ご依頼者や関係者のお考えを十分に伺いますが、最後は広く第三者に説明可能な公正中立な価格判定を行います。その際には、基礎的なデータを収集分析し、対象不動産の存する不動産市場や金融市場の最新情報を踏まえた分析を行い、急激に変化する取引市場における対象不動産の個別的な現在価値を、潜在価値(潜在的利用可能性)も踏まえて評価します。
また、全てのお客様に対して常に中立であること、専門職業化としての注意義務を果たすことは勿論のこと、鑑定評価基準に則り、適正な第三者として鑑定評価を行います。
不動産鑑定士の業務には3つの分類があります(下表参照)。これらを総称して「価格等調査」といいます。
分類 | 説明 | |
---|---|---|
鑑定評価基準に則った鑑定評価 | 鑑定評価基準(国土交通事務次官通知)に則って不動産の鑑定評価を行い、評価書にも「鑑定評価基準に則った鑑定評価」と明記されます。但し、特殊な事情により鑑定評価基準に則ることができない場合や価格等を示すことを目的としない場合、下記「鑑定評価基準に則らない価格等調査」という扱いになります。 | |
鑑定評価基準に則らない価格等調査 | 価格等を示すことが目的の場合 | 鑑定対象となる不動産が建設中(完成していない)といった理由で、鑑定評価基準に則ることができない場合等がこれにあたります。評価書では「鑑定評価基準に則らない価格等調査」とされ、「鑑定評価基準に則った鑑定評価」と区別されます。 |
価格等を示すことが目的でない場合 | 不動産に係る各種権利調整等のコンサルティングや担保物件等の物的・法的デューデリジェンス、時点修正等の意見書といった、価格等を示すことを目的としないものがこれにあたります。 |
鑑定評価基準や不動産の鑑定評価についてもっと詳しくお知りになりたい方は、国土交通省「不動産の鑑定評価」のページを参照下さい。
<(参考)不動産の鑑定評価に関する法律>
(定義) 第二条 この法律において「不動産の鑑定評価」とは、不動産(土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利をいう。以下同じ。)の経済価値を判定し、その結果を価額に表示することをいう。 2 この法律において「不動産鑑定業」とは、自ら行うと他人を使用して行うとを問わず、他人の求めに応じ報酬を得て、不動産の鑑定評価を業として行うことをいう。 3 この法律において「不動産鑑定業者」とは、第二十四条の規定による登録を受けた者をいう。 (不動産鑑定士の業務) 第三条 不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を行う。 2 不動産鑑定士は、不動産鑑定士の名称を用いて、不動産の客観的価値に作用する諸要因に関して調査若しくは分析を行い、又は不動産の利用、取引若しくは投資に関する相談に応じることを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。