1.工場抵当法の意義
工場は、土地・建物・機械器具等の設備が有機的に結合して効用を発揮するものであり、個別の資産に分解しては全体で発揮している効用に及ばないこととなる。
工場を担保として設定する場合や企業の継続価値を計る上でも同じことが言えるので、工場に帰属する不動産と動産を総体として担保権を設定する法理論として財団抵当制度が必要となり、それを具体化したものが工場抵当法である。
2.工場抵当法の種類
一つは広義の工場抵当である工場財団抵当である。
これは工場の土地・建物に備付けた機械・器具その他工場の用に供する物について目録を作成し、これを一つの財団として抵当権を設定するものである(工場抵当法第3条)。
もう一つは狭義の工場抵当と言われるものである。
工場財団抵当と異なり、財団を組成しないで、機械・器具等を不動産と共に抵当の目的とする制度である(工場抵当法第2条)。
3.工場抵当法上の工場の定義
工場抵当法では、同法第1条で「営業のため物品の製造若しくは加工又は印刷若しくは撮影の目的に使用する場所をいう」とされる。
具体例を挙げると、次のとおりである。
(1)水産物冷蔵庫に付随する土地・建物・機械・器具等は一体として工場財団を組成可能である。
(2)映画館は工場ではない。
(3)ガソリンスタンドは工場ではない。
(4)油槽所は工場に該当する。
(5)給食施設は工場に該当する。